広州とイーウー、アパレルならどちらで仕入れるべきか

中国仕入れを始めようとすると、必ず目にする二つの地名がある。広州と義烏(イーウー)だ。

どちらも中国を代表する卸売集積地だが、性格はまるで違う。義烏は百貨の総合デパート、広州はアパレルの専門店街、そのくらいの距離感がある。アパレルで中国仕入れを考えているなら、この違いを知っておくだけで仕入れ先の選択が変わる。

義烏 – 「世界の100均倉庫」

義烏国際商貿城は、世界最大級の日用雑貨卸売市場として知られている。その広さはとんでもない。2024年時点で約7万5,000の店舗があり、店舗面積の合計は約640万平方メートル、東京ドーム137個分に相当すると報じられている。一日では見て回れないどころか、数日あっても全フロアを網羅するのは難しい。

扱っている商品は、おもちゃ、文房具、アクセサリー、日用品、インテリア雑貨、工具、化粧品パッケージ、いわゆる「小商品」と呼ばれる小さな日用品・雑貨類が中心だ。日本の100円ショップに並んでいるような商品の多くは、義烏から来ている。見たこともない、何に使うのかすら分からないような商品も大量に陳列されている。

義烏のビジネスモデルは、低単価の小商品を膨大な種類扱うことが主軸だ。1688やAlibaba.comとの親和性が高く、オンラインで商品を選んで代行業者に発注する流れが確立されている。月額制の代行サービスも義烏系の業者に多い。

アパレルも一部は扱っているが、義烏のアパレルは基本的にベーシックアイテムが中心で、デザインのバリエーションやトレンド感では広州に及ばない。

広州 – アパレルの専門集積地

広州のアパレル卸売市場は、沙河(シャーハー)、十三行、白馬、站西路など複数のエリアに分散している。それぞれのエリアに数十棟の卸売ビルがあり、ビルごとに価格帯やターゲット層が異なる。

広州市場の特徴は、小ロット+高回転+デザインの多様性にある。1色1サイズあたり5枚から仕入れられる店が多く、売れなければ3日で商品を入れ替えることもある。1688に掲載される前に市場で売り切れる商品も多い。

価格帯は、エリアと商品のグレードで大きく幅がある。

沙河の南城や金馬といったエリアは安価な商品が多い。しまむらに並んでいるレベルの商品から、アウトレットのレディースアパレルと同程度の品質のものまで揃う。1枚あたりの仕入れ値はおよそ20〜25元(日本円で約440〜580円)が一つの目安になる。生地が薄いものも多いが、探せばしっかりした作りの商品も見つかる。

一方、韓国向けバイヤーが多く集まるやや高めのビルでは、定価が1枚200元(約4,500円)の商品もある。サイズ不揃いの残りは150元に値引きされる。5枚まとめ買いなら1枚100元。50枚単位のロット交渉なら50〜80元まで下がる可能性がある。 数量が増えるほど単価は下がるのが広州市場の基本だ。

こうした韓国向けブランドの商品は、縫製の丁寧さでは日本の大手量販ブランドに及ばないこともあるが、生地の厚みとハリが、量販ブランドの薄手シャツとは明らかに違うと感じた。5枚まとめて1枚約100元(日本円で2,300円ほど)で購入した商品が、日本のスポーツ系セレクトショップなら5,000〜7,000円台で売られていても違和感がないレベルだった。

アパレルなら広州を選ぶ3つの理由

義烏と広州、アパレル仕入れに限って比較すると、広州を選ぶ理由は明快だ。

デザインの鮮度と量。 広州は中国国内のみならず、韓国・東南アジア・中東・アフリカなど世界中のバイヤーが集まるアパレルの一大集積地だ。毎週のように新しいデザインが市場に出て、売れないものは消えていく。義烏のアパレルはベーシックが中心で、この回転速度とデザインの多様性は望めない。

小ロット対応の柔軟さ。 アパレルで「5枚から」のテスト仕入れ→追加発注という流れが、市場の構造として成り立っているのは広州だ。少量作って店頭に並べ、注文が入れば増産する。」このビジネスモデルが市場全体に浸透しているから、小ロットの取引が店側にとっても日常になっている。

価格帯の幅。 広州には1枚20元の商品も200元の商品も同じ市場内にある。EC事業者は、自社のターゲット価格帯に合わせて仕入れ先のビルやエリアを選べる。義烏のアパレルは低価格帯に集中しており、この選択肢の幅がない。

義烏が向いているケース

念のため、義烏が有利なケースも整理しておく。

アパレル以外の商材、たとえばスマートフォンケース、キッチン用品、パーティーグッズ、文房具、ノベルティ雑貨などを幅広く仕入れたいなら、義烏のほうが圧倒的に商品の種類が多い。アパレルとは無関係に、「中国で何か面白い商品を探したい」という段階であれば、義烏の巨大な市場を一度見る価値はある。

ただし、アパレルで勝負すると決めているなら、義烏に時間を使う理由は薄い。広州に集中したほうが、デザイン・品質・価格のすべてで選択肢が広がる。


よくある質問

Q. 義烏と広州は距離が近いですか?両方行けますか?

義烏は浙江省、広州は広東省にあり、直線距離で約940km離れています。飛行機で約2時間、鉄道なら半日がかりです。日本からの出張で両方を回ることは物理的には可能ですが、各市場をしっかり見るにはそれぞれ3~4日は必要です。アパレル中心なら広州に絞ったほうが時間効率は良いです。

Q. 義烏の代行業者と広州の代行業者は別ですか?

一般的に別です。義烏系の代行業者はオンライン(1688)発注+月額制が主流で、広州系は現地市場の買付代行が主軸です。両方に対応する業者もありますが、市場型の買付に強い業者と、プラットフォーム型に強い業者では、得意分野が異なります。

Q. 広州のアパレルは品質が心配です。

価格帯によります。沙河の安価なエリアは品質のばらつきが大きいですが、韓国向けの高めのビルでは生地のグレードが明らかに上がります。現地のバイヤーがどのエリア・どの価格帯を得意としているかを確認することが、品質管理の第一歩です。