広州仕入れの年間スケジュール – 春節と季節在庫の逆算カレンダー
「2月に春物を売り始めたい」と思ったとき、広州への発注はいつ切ればいいか。
答えは、航空便なら12月中旬、船便なら11月中だ。なぜなら、1月下旬から2月中旬は中国の春節(旧正月)で、工場も市場も止まる。つまり、春物の仕入れは春節のかなり前に発注を済ませなければ間に合わない。船便を使うなら、年末どころか11月の時点で動き始めている必要がある。
中国仕入れの年間スケジュールは日本の販売カレンダーから逆算して組む。この「逆算の感覚」がないと、欲しい時期に商品が手元にない、という事態が繰り返される。
逆算の基本:販売日から約2か月前に発注する
広州からの仕入れに必要なリードタイムは、余裕を見て約40日(仕入れ5〜10日+検品・梱包5〜10日+船便14〜21日+通関・国内配送数日)。これに加えて、日本側での販売準備に10〜14日かかる。ECであれば商品撮影、商品ページ作成、在庫登録。実店舗であれば値札付け、陳列、販促物の準備だ。
合計すると、発注から販売開始まで約50〜55日、おおよそ2か月を見ておく必要がある。以下のスケジュールはすべて船便ベースで逆算している。航空便を使えばリードタイムは20〜25日に短縮できるが、送料が船便の3〜5倍になるため、急ぎの追加発注やサンプル輸送に限定するのが現実的だ。
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日本の販売シーズンと広州の発注タイミング
日本のアパレル市場では、商品の入れ替わりは季節と生活行事に連動する。アパレル業界の販売カレンダーは実際の季節より1〜2か月早く動く。春物は2月から、秋物は8月から店頭やECに並び始めるのが標準だ。それぞれの販売開始に間に合わせるために、広州でいつ発注すべきかを逆算すると、以下の対応表になる。
春物(2〜3月に販売開始)→ 11月中旬〜12月上旬に発注
2月中旬には春物を並べたい。新生活需要(入学、就職、卒業式)に合わせるなら、3月初旬がピークだ。逆算すると11月中旬〜12月上旬の発注が必要になる。これは年間で最もスケジュールが厳しい時期だ。年末の繁忙期と重なるうえ、1月下旬からの春節までに商品が広州を出ていなければならない。12月中に発注を完了し、春節前に出荷まで済ませるのが鉄則になる。
初夏物(4〜5月に販売開始)→ 2月中旬〜3月上旬に発注
春節明けの2月下旬〜3月上旬は、市場が徐々に通常稼働に戻る時期だ。春節直後はまだフル稼働ではないため、少し余裕を持ったスケジュールを組みたい。GW需要も見据えて、遅くとも3月上旬には発注を入れる。
盛夏物(5〜7月に販売開始)→ 3月中旬〜4月上旬に発注
夏のセール(6月下旬〜)に合わせるなら、5月中にはECや店頭に並べたい。Tシャツなど軽衣料が中心で、国際送料の重量単価が軽くなりやすい。仕入れの時期としては春節の影響もなく、最も動きやすい。
秋物(8〜10月に販売開始)→ 6月上旬に発注
8月から秋色の軽衣料やカットソーが動き始め、9月以降はジャケットや軽アウターが本格化する。8月の販売開始に間に合わせるには6月上旬の発注が必要だ。真夏に秋物を発注する感覚は最初は違和感があるが、これがアパレル仕入れの逆算リズムだ。
冬物(10〜12月に販売開始)→ 8月上旬に発注
コートやニットなどの高単価アイテムが動く時期。10月から店頭に並び始め、11月のブラックフライデー、12月の年末商戦へと続く。8月上旬に発注し、9月末〜10月初旬には販売準備を完了させたい。
年末年始(12〜1月に販売開始)→ 10月上旬に発注
クリスマス・年末年始の需要に合わせた商品や福袋向けの仕入れ。この時期の発注が遅れると年末に間に合わない。遅くとも10月上旬までに発注を完了しておく必要がある。
春節 – 年間最大のリスクポイント
中国の春節(旧正月)は、毎年1月下旬〜2月中旬のあいだに設定される。太陰暦に基づくため、年によって日程が変動する。
春節の前後2〜4週間、広州の工場と市場はほぼ停止する。公式の祝日は1週間程度だが、実際にはそれよりずっと長い。全国の労働者が帰省し、工場の縫製担当もバイヤーのスタッフも故郷に帰る。中国の国土の広さを考えれば、この長期休暇がないと故郷に帰れないのだから、休みが長くなるのは当然だ。春節の2週間ほど前から人員が減り始め、春節明けもすぐにはフル稼働に戻らない。だから、影響期間は前後2〜4週間と見ておくのが現実的だ。
春節が仕入れに及ぼす影響:
停止期間中は発注しても処理されない。春節前に駆け込みで発注しても、人員が減り始めた状態で作業されるため、通常より品質管理が粗くなるリスクがある。ただし、これは品質そのものが下がるというより、チェックが行き届きにくくなるという意味だ。
春節明けの再開は段階的で、すべてのスタッフが一斉に戻るわけではない。2月中旬〜下旬に徐々に稼働率が上がり、3月に入ってようやく通常のペースに戻る。
対策: 春物の仕入れは、遅くとも12月中に発注を完了させ、春節前に出荷まで済ませるのが鉄則だ。春節をまたぐと、春物の販売開始(2月中旬〜)に間に合わなくなる。11月の時点で翌春の仕入れ計画を立て、12月上旬には発注を入れるスケジュール感が必要だ。初夏物の発注は春節明けの2月下旬〜3月上旬になるため、春節の影響は春物に最も集中する。
広州市場に「閑散期」はあるか
結論から言えば、広州のアパレル市場に明確な閑散期はほとんどない。
世界中からバイヤーが来ているため、日本のアパレル小売が閑散期(2月、8月)でも、韓国や東南アジア、中東のバイヤーが別の季節感で仕入れている。広州の市場は通年で商品が動いている。
ただし、扱っている商品のカテゴリーによって波はある。日本向けの学校関連用品やスポーツユニフォームなど、特定の時期に需要が集中するカテゴリーでは、同じ時期に発注が重なるため工場の納期が伸びることがある。
仕入れ事業者にとって重要なのは、広州の市場の繁閑ではなく、自社の販売カレンダーから逆算して発注することだ。広州は通年で稼働しているが、自分が売りたい時期に間に合うかどうかは、自分の発注タイミング次第で決まる。
季節を超えた運用のリズム
年間を通じて安定した仕入れを続けるには、「発注→到着→販売準備→販売→追加発注」のサイクルを、季節ごとに回し続ける運用リズムが必要だ。
在庫が切れてから発注するのでは遅い。定番品は在庫が残っているうちに追加発注をかけ、トレンド品は次のシーズンのテスト仕入れを先行して入れる。この「常に1シーズン先を仕入れている」感覚を持てるかどうかが、事業の安定性を左右する。
余裕を見て約40日のリードタイムは、言い換えれば「40日先を見て動く」ということだ。今日発注した商品は、約2か月後に店頭やECサイトに並ぶ。2か月後に何が売れているかを想像しながら、今日の発注を決める。この感覚を身につけることが、中国仕入れの事業者にとって最も大切なスキルのひとつだ。
よくある質問
Q. 春節の正確な日程はいつ分かりますか?
春節の日程は中国政府が前年に発表します。太陰暦に基づくため毎年変動しますが、1月21日〜2月20日頃の範囲に収まります。前年の11〜12月には日程が確定するので、その時点で春物の仕入れスケジュールを調整してください。
Q. 航空便を使えばリードタイムは短縮できますか?
航空便なら国際輸送が早ければ2日、余裕を見て5日に短縮されるため、トータルのリードタイムは20〜25日程度になります。ただし送料は船便の3〜5倍になるため、急ぎの追加発注やサンプル輸送に限定して使うのが現実的です。
Q. 梅雨時期の湿度は商品品質に影響しますか?
日本到着後の保管環境によっては、湿気による生地の劣化やカビのリスクがあります。ただし広州での製造・梱包段階でOPP包装(透明フィルムの個包装)が施されていれば、輸送中の湿度影響は最小限に抑えられます。日本側での保管環境(換気、除湿)に注意してください。
この記事を書いた人: 広州市場での買付代行実績15年のスタッフが在籍する中国トレーディングサポートが、年間の仕入れスケジュールと春節対策を解説しました。

