中国からアパレルを仕入れたい。そう思って「中国 輸入代行」と検索すると、比較サイトがずらりと並ぶ。おすすめ10社、おすすめ15社。どこも手数料率と対応ECサイトの一覧表を載せていて、一見わかりやすい。

ただ、それらの比較記事にはほぼ共通する前提がある。「タオバオや1688で商品を選び、代行業者に購入を依頼する」という方法しか紹介していないことだ。

中国からの仕入れには、もうひとつ別の方法がある。広州や義烏にある卸売ビルに、現地のバイヤーが直接足を運んで商品を仕入れる方法だ。手数料率だけ見るとEC代行より高い。しかし最終的なコストは、商品によっては逆転する。

この記事では、EC購入代行現地市場型買付代行の2つを並べて、費用構造の違いと選び方の基準を整理する。

EC購入代行と現地市場型買付代行は何が違うのか

まず、2つの方法の仕組みを整理する。名前が似ているが、やっていることが根本的に違う。

EC購入代行 は、タオバオや1688(アリババの中国国内向け卸売サイト)で、あなたが選んだ商品を代行業者が購入し、検品して日本に送ってくれるサービスだ。商品を選ぶのはあなた自身。画面上で写真と価格を見て決める。代行業者はそれを中国国内で受け取り、検品・梱包・発送する。日本にいながらスマホで完結する。

現地市場型買付代行 は、広州の沙河や十三行、義烏の福田市場といった卸売ビル(テナントが入った問屋ビル)に、現地のバイヤーが直接行って商品を仕入れるサービスだ。バイヤーが店頭で実物を手に取り、生地の質を確認し、縫製をチェックし、店主と価格を交渉する。あなたが「レディースの春物カットソー、単価30元以下で」と伝えれば、バイヤーが市場を歩いて候補を選び、写真と価格を送ってくる。最終的にどれを仕入れるか決めるのはあなただ。

この2つは、「代行」という同じ言葉を使っているが、サービスの中身が違う。EC代行は「購入の代行」。現地市場型は「仕入れの代行」。購入は、自分で選んだものを買ってもらう作業。仕入れは、何を買うかの探索と交渉をバイヤーに任せ、最終判断はあなたがする作業だ。

EC購入代行と現地市場型買付代行の違い。EC代行は決まった商品を買う購入の代行、現地市場型は商品探しから任せる仕入れの代行

EC購入代行の費用構造

EC購入代行の費用は、シンプルな積み上げ式になっている。

代行手数料: 商品代金の5〜10%が相場。月額定額制(9,800円〜29,800円)で手数料0%のプランを持つ業者もある。

検品費用: 商品代金の7〜10%が相場。外箱を開けて数を数え、外観をざっと目視する簡易検品が中心だ。

国際送料: 航空便なら1kgあたり22〜30元(20kg以上の場合)。船便なら大幅に安くなるが、2〜4週間かかる。

為替手数料: TTS(銀行から外貨を買うときのレート)に上乗せがあり、銀行相場より1〜3円高くなる。

これらを合算すると、商品代金に対して20〜30%程度が上乗せされる。ただし、ここに関税・消費税は含まれていない。日本の税金は別途かかる。この構造については別の記事で詳しく解説している。

EC購入代行が向いている場面: すでに売れる商品がわかっていて、同じ商品をリピートで仕入れたいとき。1688で型番を指定して発注するだけだから、バイヤーの目利きは不要。手数料率が低い分、定型的な仕入れには合理的だ。

現地市場型買付代行の費用構造

現地市場型は、EC代行と費用の出方が違う。

代行手数料: 月間仕入額に対して15〜20%。仕入れ額が大きくなるほど率は下がる。月200万〜300万円なら15%、それ以上なら個別交渉になる。EC代行の5〜10%と比べると高く見える。

検品費用: 1枚あたり3元前後(オプション)。EC代行の「商品代金の7%」とは料金の出し方が違うので、単純比較はできない。ただし検品の中身が根本的に違う。1枚ずつ広げて、縫製・サイズ・汚れ・色ムラまで確認する詳細検品が基本だ。EC代行の簡易検品とは精度が別物と考えた方がいい。

国際送料: EC代行と同じく航空便・船便の選択。船便であれば、50kg(Tシャツ約200枚相当)で650〜750元程度。仕入れ量が増えるほどkg単価は下がる。

為替手数料: TTS×1.03程度が一般的。

手数料率だけ見ると、EC代行の2〜3倍に見える。しかし、手数料率とランディングコスト(手元に届くまでの総コスト)は別の話だ。手数料率が高くても、商品の仕入れ単価が安ければ、最終的なコストは逆転することがある。この計算は別の記事で具体的な数字を出して検証している。

現地市場型が向いている場面: まだ何を仕入れるか決まっていない、またはトレンド品を探したいとき。ECには出ていない商品を見つけたいとき。バイヤーの交渉力で仕入れ単価を下げたいとき。少量多品種で試したいとき。

広州の卸売ビルでバイヤーが商品を選んでいる様子。市場によって雰囲気は異なるが、実物を手に取って選べるのが現地仕入れの強み。

仕入れ規模で選ぶ

月の仕入れが数十万円以下のとき。 EC代行が合理的だ。スマホとPCで完結し、一人で回せる。リスクも小さい。中国仕入れの感覚をつかむ入り口として最適だ。まずは1688で気になる商品を見つけて、小ロットで試す。売れるかどうかを確認してから次を考える。

月の仕入れが30万〜100万円のとき。 EC代行でも回る。ただし、この規模になると「もっと安く仕入れられないか」という疑問が出てくる。同じ商品が広州の卸売ビル(テナントが並ぶ問屋ビル)ならもっと安いかもしれない。検品の精度が気になり始めるかもしれない。現地市場型の見積もりを取ってみて、同じ商品のランディングコストを比較してみる価値がある。

月の仕入れが100万円を超えたとき。 ここが分岐点になる。同じ100万円を使っても、EC代行と現地市場型では買える枚数が変わる。仕入れ単価の差に加えて、現地市場型は手数料率が仕入れ額に応じて下がる。EC代行の手数料率は基本的に変わらない。年間にすると数百万円の利益差になることがある。別の記事で具体的な計算を出しているので、自分の仕入れ規模で計算してみてほしい。

もうひとつ、為替の影響がある。円安が進むと、元建ての仕入れコストは円ベースで膨らむ。このとき、商品単価が高いEC代行の方がコスト増の影響を大きく受ける。2025年後半以降、1元=22〜23円台で推移している現状では、現地市場型への切り替えを検討すべきタイミングが従来よりも早まっている。

仕入れる商品で選ぶ

ECでも卸売ビルでも価格が変わらない商品 がある。1688に出品している工場の定番品、型番が決まっているベーシックなアイテム。こういう商品は、EC代行の方が手数料率が低い分、有利になることがある。バイヤーの目利きも交渉力も必要ない。画面で型番を指定して発注するだけだ。

卸売ビルでしか手に入らない商品、または価格差が大きい商品 がある。今週だけ棚に並んでいるトレンド品。ECにはまだ出ていない新作。小規模工場が卸売ビルのテナントで直売している商品。こういう商品は、現地市場型でなければ仕入れられないか、仕入れられたとしてもEC価格が大幅に高い。

2026年の中国仕入れは、少量多品種・トレンド追従型にシフトしている。1つの商品を5,000枚作って売り切る時代から、50枚ずつ数十種類を試して当たりを見つける時代に変わった。在庫リスクを減らし、売れ筋だけを追加発注するスタイルだ。このやり方は、現地のバイヤーが卸売ビルを週に2〜3回歩いて、何が出て何が消えたかを肌で感じながら選ぶスタイルと相性がいい。ECの画面で写真とレビューだけを見て判断するのとは、情報の質が違う。

代行業者を選ぶときに確認すべきこと

最後に、EC代行でも現地市場型でも共通する、業者選びのチェックポイントを挙げておく。

中国への支払い総額が明確か。 代行手数料、検品費用、国際送料、為替レートの計算方法。これらが見積書や料金ページに明記されているか。「後から追加」がないか。

検品の内容は何か。 「検品あり」とだけ書いてあっても、中身は業者によって全然違う。数を数えるだけなのか、1枚ずつ広げて確認するのか。アパレルは検品の精度がそのまま返品率に直結する。検品が甘ければ不良品が混じったまま届く。届いた後に気づけば、お客様への返品・返金対応、低評価レビュー、Amazonなら出品アカウントへの悪影響。気づかず出荷してしまえば、クレーム対応の時間と送料が丸ごと持ち出しになる。

日本の税金は自分で計算する前提。 どの代行業者の見積書にも、関税・消費税は含まれていない。これは業界の慣行であり、代行業者の不親切ではない。アパレルなら課税価格の約21%を自分で上乗せすれば、手元に届くまでの総コストが出せる。計算方法は別の記事で解説している。

為替レートの基準日と計算方法。 「TTS×1.03」なのか、「独自レート」なのか。ここが不明確な業者は、為替差益で見えにくい利益を取っている可能性がある。

最低仕入れ額やロットの条件。 現地市場型は月間の最低仕入れ額が設定されていることがある。EC代行は1点から対応可能な業者が多い。自分の仕入れ規模に合っているか。

連絡手段とレスポンス。 日本語対応か。時差を考慮したレスポンスがあるか。仕入れの途中で「この商品の在庫がなかった、代替を探すか?」という判断が必要になることは日常的にある。そのとき連絡が取れないと話にならない。

代行業者選びは、手数料率の比較だけでは判断できない。手数料率が安くても、仕入れ単価が高ければ最終コストは逆転する。検品が甘ければ不良品の対応コストが利益を食う。手数料率の数字だけでなく、仕入れ単価、検品の中身、為替レートの計算方法まで含めて比較する。そこまでやって初めて、自分に合った業者が見える。

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