中国からアパレルを仕入れて、日本で売る。

やることはシンプルだ。安く買って、高く売る。ただし「安く買えた」と思った金額は、手元に届くまでの本当のコストではない。商品代金のほかに、代行手数料、検品費用、国際送料、関税、消費税、為替手数料がかかる。全部足した金額を「ランディングコスト」と呼ぶ。手元に届くまでの総コストだ。

この数字を正確に出せないと、売値を決められない。売値を決められないと、利益が出るかどうかもわからない。

この記事では、同じ商品をEC購入代行現地市場型買付代行で仕入れた場合のランディングコストを、具体的な数字で比較する。

EC購入代行とは、タオバオや1688といった中国のECサイトで商品を選び、代行業者に購入と発送を依頼する方法。日本にいながらスマホで完結する。

現地市場型買付代行とは、広州などにある卸売ビル(テナントが入った問屋ビル)に、現地のバイヤーが直接足を運んで商品を仕入れる方法。店頭で実物を見て、店主と価格を交渉する。ECには出ていない商品や、EC価格より安い店頭価格で仕入れられるのが強みだ。

広州の卸売市場と仕入れの様子。沙河広場の外観とバイヤーが店頭で商品を選んでいる風景

中国仕入れのコストは「中国への支払い」と「日本の税金」の2階建て

最初に、一番大事な話をする。

中国から商品を仕入れるとき、お金を払う相手は2つある。1つは中国の代行業者。もう1つは日本の税関だ。

代行業者に払う金額は、見積書を見ればわかる。商品代金、手数料、送料。全部書いてある。問題はその先だ。商品が日本に届いて、税関を通る段階で、関税と消費税がかかる。これは代行業者の見積書には書いてない。

中国側の業務範囲外なので、請求書に入っていなくても不親切なわけではない。中国のスタッフは日本の税金の計算をする立場にないし、金額を確約できる人もいない。

ただ、知らなかったでは済まない。この「2階部分」を計算に入れていないと、届いてから「思ったより高い」ということになる。

1階=中国への支払い。2階=日本の税金。この2つを足したものが、本当のコストだ。

1階:「中国への支払い」の内訳

代行業者に払うお金の中身を1つずつ見ていく。

商品代金

仕入れの本体。EC購入代行ならタオバオや1688(アリババの中国国内版)の画面に表示されている価格。現地市場型なら、広州の卸売ビルでバイヤーが店主と交渉して決めた店頭価格。同じ商品でも、ECの表示価格と卸売ビルの店頭価格には差が出ることが多い。店頭の方が安い。中間マージンが乗っていないからだ。

代行手数料

EC購入代行は商品代金の5〜10%。月額定額制のプランなら手数料0%のところもあるが、月額9,800円〜29,800円の固定費がかかる。現地市場型は月間仕入額に対して15〜20%。仕入れ額が大きくなるほど率は下がる。

検品費用

EC購入代行は商品代金の7〜10%が相場。現地市場型は1枚あたり3元前後(オプション)。料金の出し方が違うので、実際の金額差は後の計算例で比べる。ただし、料金体系以上に大事なのは検品の中身だ。EC代行の7%検品は、外箱を開けて数を数え、外観をざっと目視する程度のことが多い。現地市場型の3元/枚は、1枚ずつ広げて縫製・サイズ・汚れ・色ムラまで確認する詳細検品が基本だ。同じ「検品」でも、やっていることが別物だと思った方がいい。アパレルで検品を省くと不良品率が跳ね上がる。ここを削って浮かせた数千円は、返品やクレーム対応のコストで何倍にもなって跳ね返ってくる。

中国国内送料

卸売ビルや工場から、代行業者の倉庫までの配送費。卸売ビルで買った商品を検品・梱包する場所まで届ける費用だ。数百円〜数千円程度で、代行手数料に込みの業者もあれば、金額が小さいためサービスにしている業者もある。見積書に項目がなければ、込みかサービスかを確認しておくといい。

国際送料

代行業者の倉庫から日本までの配送費。航空便と船便で大きく変わる。航空便は速いが高い。20kg以上なら1kgあたり22〜30元が目安。船便は安いが2〜4週間かかる。1立方メートルあたり2,000元前後。

為替手数料

代行業者への支払いは中国元建てで、日本円に換算する際にレート差が発生する。銀行の相場が1元=20円前後でも、TTS(銀行から外貨を買うときに適用されるレート)への上乗せがあり、実際に払うレートは1元=21〜23円程度になる。

※この記事の計算例では、計算を簡潔にするため実効レートを「1元=20円」としている。実勢レートは変動するので、計算時にはその時点のレートに置き換えてほしい。

2階:「日本の税金」の内訳

商品が日本の港や空港に届くと、税関を通る。ここで関税と消費税がかかる。

まず課税価格を出す

課税価格とは、税金を計算するための基準になる金額のことだ。「商品代金+国際送料+保険料」で計算する。ここが重要なポイントで、代行手数料や検品費用は課税価格に含まれない。代行業者に払った総額がそのまま課税されるわけではない。

これは後で効いてくる話なので、覚えておいてほしい。

次に関税

課税価格に関税率をかける。アパレルの関税率は品目によって違うが、8〜12%の範囲に収まることが多い。ざっくり10%前後。

関税率は、日本の税関がインボイス(送り状)の品名をもとに品目を判定して決める。同じカットソーでも、インボイスに「ニット製」と書かれるか「織物製」と書かれるかで税率が変わる。初めて仕入れる商品や、いろいろな種類を混載で送る場合は、想定と数ポイントずれることがある。同じ商品を同じルートで継続して仕入れるようになれば、品名も税率も固定されて安定する。

そして消費税

課税価格に関税を足した金額に対して、10%の消費税がかかる。関税を足した後の金額にかかる、というのがミソだ。関税の分にも消費税が乗る。

大まかにまとめると、課税価格に対して約21%。これが日本の税金の目安だ。品目によって数ポイント前後するが、アパレルなら21%で見ておけば大きく外れない。

計算例:レディースカットソーを100枚仕入れる場合

数字で見た方が早い。レディースのポリエステル製カットソーを100枚仕入れるケースで、EC購入代行と現地市場型買付代行を比較する。

共通条件はこうだ。為替レートは1元=20円(為替手数料込みの実効レート)。配送は航空便で約15kg、1kgあたり25元。関税率は10.9%(ポリエステル製カットソーの税率)。

EC購入代行で仕入れた場合

【1階】中国への支払い

商品代金:1688の表示価格 35元/枚×100枚=3,500元(70,000円)
代行手数料:商品代金の7%=4,900円
検品費用:商品代金の7%=4,900円
国際送料(航空便):15kg×25元×20円=7,500円
中国への支払い合計:87,300円

【2階】日本の税金

課税価格:商品代金70,000円+国際送料7,500円=77,500円
関税:77,500円×10.9%=8,400円(百円未満切捨て)
消費税:(77,500円+8,400円)×10%=8,500円(百円未満切捨て)
日本の税金合計:16,900円

ランディングコスト:104,200円(1枚あたり1,042円)

現地市場型買付代行で仕入れた場合

【1階】中国への支払い

商品代金:沙河の卸売ビルでの交渉価格 28元/枚×100枚=2,800元(56,000円)
代行手数料:商品代金の18%=10,080円
検品費用:3元/枚×100枚×20円=6,000円
国際送料(航空便):15kg×25元×20円=7,500円
中国への支払い合計:79,580円

【2階】日本の税金

課税価格:商品代金56,000円+国際送料7,500円=63,500円
関税:63,500円×10.9%=6,900円(百円未満切捨て)
消費税:(63,500円+6,900円)×10%=7,000円(百円未満切捨て)
日本の税金合計:13,900円

ランディングコスト:93,480円(1枚あたり935円)

自分で計算できるようにしておく

ここまでの計算を自分でできるようにしておけば、どの代行業者の見積書を見ても「手元に届くまでいくらかかるか」がわかる。

やることは3つだけだ。

ステップ1:中国への支払いを合算する。 商品代金+代行手数料+検品費用+国際送料。代行業者の見積書に書いてある数字を全部足す。

ステップ2:課税価格を出す。 商品代金+国際送料。これだけ。代行手数料と検品費用は入れない。

ステップ3:日本の税金を出す。 ステップ2の課税価格×約21%。これが関税と消費税の合計の目安。

ステップ1+ステップ3=ランディングコスト。これが手元に届くまでの本当のコストだ。売値からランディングコストと販売手数料と送料を引いた残りが粗利になる。

なお、この記事の計算例は1元=20円で統一している。2025年後半以降、実勢レートは1元=22〜23円台で推移しており、実際のコストはこの計算例より15%程度高くなる。自分で計算するときは、その時点の実勢レートに置き換えてほしい。円安が進むほど、元建ての商品単価が高いEC代行の方がコスト増の影響を大きく受ける。つまり円安局面では、現地市場型への切り替えを検討すべきタイミングが早まる。

2つの計算を並べると何がわかるか

EC購入代行は1枚1,042円。現地市場型は1枚935円。1枚あたり107円、100枚で10,700円の差

ここで1つ、数字の見方に注意がいる。商品代金に対する倍率だけ見ると、EC代行が約1.49倍、現地市場型が約1.67倍で、現地市場型の方が「割高」に見える。しかし実際の1枚あたりの金額は現地市場型の方が107円安い。倍率が高いのは、元の原価が安いからだ。700円を1.49倍にした1,042円より、560円を1.67倍にした935円の方が安い。倍率ではなく実額で比べないと判断を間違える

「代行手数料が高い現地市場型の方が安いのか?」と思うかもしれない。からくりは2つある。

1つ目は、仕入れ原価の差。同じカットソーでも、1688の表示価格は35元、沙河の卸売ビルでの交渉価格は28元。この7元(140円)の差が、手数料率の差を吸収して余りある。

2つ目は、2階部分の構造。関税と消費税は「商品代金+国際送料」にかかる。代行手数料にはかからない。つまり、代行手数料が高くても、その分には21%が乗らない。一方で、商品代金が高いと、その金額に21%が丸ごと乗る。

具体的に見てみる。EC代行の代行手数料は4,900円で、この4,900円には関税も消費税もかからない。現地市場型の代行手数料は10,080円で、この10,080円にも関税も消費税もかからない。差額の5,180円は純粋なコスト差だ。

しかし商品代金を見ると、EC代行は70,000円、現地市場型は56,000円。この14,000円の差には21%の税金が乗る。14,000円×21%=約2,940円。つまり商品代金が14,000円安いことで、日本の税金が約3,000円安くなる。

16,940円から5,180円を引くと11,760円。差し引きで、現地市場型の方が約11,000円安くなる。

原価を下げることの効果は、単に「安く買えた」だけでは終わらない。原価が下がれば、その分にかかる税金も下がる。二重に効く。

利益計算:いくらで売れば利益が出るか

仕入れたカットソーをメルカリやAmazonで販売するとする。

販売価格を2,500円に設定した場合:

EC購入代行(ランディングコスト1,042円/枚)
2,500円 − 1,042円 − 販売手数料250円(10%) − 送料200円 = 粗利1,008円(粗利率40.3%)

現地市場型(ランディングコスト935円/枚)
2,500円 − 935円 − 販売手数料250円(10%) − 送料200円 = 粗利1,115円(粗利率44.6%)

1枚あたり107円の差。小さく見えるかもしれない。しかし月に500枚売れば月53,500円。年間で64万円。事業規模が大きくなるほど、この差は無視できなくなる。

仕入れ規模が大きくなったとき、何が変わるか

ここまでの計算例は100枚という小さな単位で見てきた。副業で始める最初の仕入れなら、この規模で感覚をつかむのは正しい。

ただし、仕入れを本業にしていくと、月の仕入れ額は数十万から100万、200万と増えていく。規模が大きくなると、EC代行と現地市場型の差は「1枚107円の差」では済まなくなる。

理由は単純だ。同じ金額を使ったとき、買える枚数が違う。

月100万円を中国への支払いに使った場合で比較する。

EC購入代行(手数料7%、検品7%)の場合

商品単価700円(35元)、代行手数料49円、検品49円、国際送料75円。1枚あたり873円。
100万円÷873円≒約1,145枚
日本の税金(課税価格×21%):約18.6万円。
ランディングコスト合計:約119万円。

現地市場型(手数料18%、検品3元/枚)の場合

商品単価560円(28元)、代行手数料101円、検品60円、国際送料75円。1枚あたり796円。
100万円÷796円≒約1,256枚
日本の税金(課税価格×21%):約16.7万円。
ランディングコスト合計:約117万円。

同じ100万円で、EC代行は約1,145枚、現地市場型は約1,256枚。111枚の差。

これを1枚2,500円で販売すると、売上はEC代行が約286万円、現地市場型が約314万円。28万円の売上差。

ここからAmazon販売手数料(15%)、FBA送料、広告費を引いた手残りを出すと、

EC代行:286万 − 119万 − 43万 − 15万 − 15万 = 約94万円
現地市場型:314万 − 117万 − 47万 − 16万 − 15万 = 約119万円

月25万円の差。年間で約300万円。人を一人雇える金額だ。

しかも、現地市場型は仕入れ額が大きくなるほど手数料率が下がる。月200万〜300万円なら15%、それ以上なら個別交渉でさらに下がる。EC代行の手数料率は仕入れ額が増えても基本的に変わらない。規模が大きくなるほど、差は開いていく。

なぜ枚数がそこまで変わるのか。もう一度整理すると、原因は2つある。

1つ目は、商品の仕入れ単価の差。1688の表示価格35元に対して、卸売ビルの店頭交渉価格は28元。この7元の差は、バイヤーが店主と直接交渉し、ECプラットフォームの手数料やマージンを介さないから生まれる。

2つ目は、課税構造。関税と消費税は商品代金+国際送料にかかり、代行手数料にはかからない。商品代金が安ければ、その分にかかる税金も安くなる。代行手数料が高くても、その金額には21%が乗らない。原価を下げることの効果は、仕入れ代金だけでなく、税金にも二重に効いてくる。

少量多品種へのシフト

もうひとつ、2026年の中国仕入れのトレンドとして触れておきたいことがある。

数年前までは、1つの商品を工場にOEMで大量発注し、Amazonで売り切るのが王道だった。しかし今は、少量多品種・トレンド追従型にシフトしている。1つの商品を5,000枚作るより、50枚ずつ数十種類を試して、売れた商品だけ追加発注する方がリスクが低い。在庫を抱えて値崩れするリスクも小さい。

この「少量多品種」のスタイルは、現地のバイヤーが卸売ビルを歩いて、実物を見て、今どの商品が動いているかを肌で感じながら選ぶやり方と相性がいい。ECの画面で写真とレビューだけを見て選ぶのとは、情報の質が根本的に違う。

まとめ

月の仕入れが数十万円以下のうちは、EC代行でスマホひとつで回すのが合理的だ。リスクも小さいし、一人で完結する。中国仕入れの感覚をつかむ入り口としては最適だ。

しかし月100万円を超えてくると、EC代行の手数料構造と商品単価の高さがじわじわと利益を削ってくる。同じ資金で買える枚数が違い、同じ枚数を売ったときの利益が違い、年間にすると数百万円の差になる。事業として中国仕入れを続けるなら、どこかのタイミングで現地市場型への移行を検討する価値がある。

見積書を見るときに確認すべきこと

最後に、代行業者の見積書や料金ページを見るときのチェックポイントを整理しておく。

代行手数料は何に対して何%か。商品代金に対してか、商品代金+国内送料に対してか。検品は別料金か、込みか。検品の中身は簡易か詳細か。国際送料はどの時点で確定するか。為替レートはいつの時点のものを使うか。

ここまでが「中国への支払い」の確認項目だ。多くの代行業者の見積書には、この範囲の金額が書いてある。

問題は関税・消費税だ。どの代行業者の見積書にも、関税・消費税は含まれていない。これには理由がある。関税は、日本の税関がインボイスの品名をもとに品目を判定して税率を決める。初めて仕入れる商品や混載の場合、想定と数ポイントずれることがある。だから代行業者が事前に正確な税額を確約できない。見積もりに入っていないのは、業界の慣行として理由がある。

ただし、「正確にはわからない」と「目安すら出せない」は別の話だ。アパレルなら、課税価格に対して約21%。これが目安になる。同じ商品を継続して仕入れるようになれば、税率も安定する。届いてからの誤差は、通常は数千円の範囲だ。

代行業者の見積書の合計金額に、自分で約21%を上乗せする。この記事の3ステップで計算すれば、どの業者の見積書を見ても手元に届くまでの金額がわかる。

「後から思ったより高くついた」というトラブルの大半は、この2階部分を計算に入れていなかったことから起きている。代行業者のせいではない。自分のコストは自分で把握する。中国からの仕入れは、この原則さえ守れば怖くない。

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