広州仕入れの実際のコスト内訳 – 商品代金だけでは利益計算はできない

広州の市場で見つけた服が1枚30元(約700円)。日本で2,000円で売れば、差額1,300円がまるまる利益になる、と計算した人は、たいてい初回の仕入れで計算が合わないことに気づく。

商品代金のほかに、代行手数料がかかる。検品費用がかかる。国際送料がかかる。為替手数料がかかる。日本に着けば関税と消費税がかかる。そして一定割合の不良品が出る。これらをすべて足し合わせた「ランディングコスト(商品が日本の自分の手元に届くまでの総コスト)」が実際の仕入れ原価だ。冒頭の30元の服なら、手元に届くまでに1,100円前後になる。


商品代金にプラスされるコストの全体像

結論から言うと、広州の市場型買付代行を使った場合、ランディングコストは商品代金のおおむね1.5〜1.7倍になるのがひとつの目安だ。

内訳はこうなる(2026年6月時点)。代行手数料が商品代金の15〜20%(月間仕入額が大きいほど料率は下がる)。検品・ネーム付け替え・OPP包装(透明フィルムの個包装)が1枚3元(約70円)。これは単価30元の服なら10%、80元の服なら4%弱に相当する。船便の国際送料が数%〜10%程度。為替手数料が3%前後。ここまでの「中国への支払い」で、商品代金の約1.3〜1.45倍。そこに日本側で関税・消費税が課税価格(商品代金+国際送料+保険料)の約21%が乗って、合計でおおむね1.5〜1.7倍に着地する。

単価が低いほど、規模が小さいほど、倍率は上振れする。1枚3元の検品費や1回ごとの送料は固定費に近く、単価の安い商品ほど比率として重くなるからだ。

なお、これはEC購入代行でも大差ない。1688(アリババグループの中国国内向け卸売サイト)やタオバオを使う代行の場合、手数料率は低めだが商品単価が高く、結果として倍率は1.5倍前後に落ち着く。そして大事な注意がひとつある。倍率は原価が安いほど高く出る。比べるべきは倍率ではなく、1枚あたりの実額だ。 700円の服の1.5倍より、560円の服の1.7倍のほうが安い。EC購入代行と市場型の具体的な比較計算は、コストシミュレーションで1円単位まで分解している。

コストの中身は、大きく「中国への支払い」と「日本の税金」の2階建てになっている

1階:中国への支払い
商品代金、代行手数料、検品・ネーム付け替え・梱包費用、中国国内送料、国際送料、為替手数料。このうち代行手数料と検品費用は、業者のビジネスモデルによって金額の出方が変わる

2階:日本の税金
関税と輸入消費税。課税価格は「商品代金+国際送料+保険料」で、代行手数料や検品費用は含まれない。アパレルの場合、関税が品目により約9〜11%、消費税が関税込み金額に対して10%。合わせて課税価格の約21%が日本到着時にかかる(2026年6月時点)。

この2階建てを理解していないと、中国の代行業者への支払いだけで「安い」と判断してしまい、日本の税関で想定外の出費に直面することになる。

輸送費は仕入れ規模で決まる

コスト構造の中で、仕入れ規模によって最も大きく変動するのが国際送料だ。

航空便は速いが高く、1kgあたり22〜30元が目安。船便は安いが14〜21日かかり、混載で1kgあたり12〜13元前後(100kg以上の場合。2026年6月時点)。テスト仕入れの少量なら航空便が現実的だが、事業として回すなら船便が基本になる。

感覚をつかむための数字を挙げると、Tシャツなら50kgで約200枚。意外と少なく感じるかもしれない。少量の仕入れでは船便の最低ロットに届かず航空便しか選べないため、輸送費率が跳ね上がる。ある程度まとまった数量を1回の船便に載せることで、1枚あたりの送料は大きく圧縮できる。

「商品代金は安いのに、手元に届くと意外と高い」と感じる原因の多くは、この輸送費の問題だ。

発注から着荷までのリードタイム

広州の市場型買付の場合、発注から日本到着までの目安は、現地スタッフの言葉を借りれば「余裕を見て約40日」だ。

内訳は、

  • 仕入れ(市場での購入・集荷。在庫がなく工場発注になる場合はさらに延びる):5〜10日
  • 検品・ネーム付け替え・梱包:5〜10日
  • 船便の海上輸送:14〜21日
  • 日本側の通関・国内配送:数日

条件がすべて噛み合えば40日を切ることもあるが、何かひとつ欠ければ崩れる。最短記録を基準に計画してはいけない。

繁忙期(旧正月前後・国慶節・ダブルイレブン前後): 工場や物流が混み合い、50日以上かかることもある。旧正月(春節)前後は2〜4週間の操業停止期間があり、計画的な発注が不可欠になる。

EC事業者にとって重要なのは、「40日は最短ではなく標準」という感覚を持つことだ。在庫が切れてから発注しても、次の商品が届くまで40日は売上が止まる。定番品は在庫が残っているうちに追加発注をかける。この運用リズムを作れるかどうかが、中国仕入れの継続性を左右する。

見込み客が最も誤解しているポイント

中国仕入れのコストについて、実際に取引を始める前と後で認識が変わるポイントがいくつかある。

「仕入れ」を「転売」と同じだと思っている。 これが最も根本的な誤解だ。国内の問屋から商品を仕入れてECで売る。これは「仕入れ→販売」のシンプルな流れで、間に入るのは配送くらいだ。中国仕入れは違う。関税の計算、通関書類の準備、インボイスの記載内容、為替レートの変動、検品、不良品への対処。中国からの仕入れは転売ではなく、製造に近い仕事だ。 製造者が直接販売すれば中間マージンを取られないから利益率が高い。中国仕入れの本質はそこに近い。この感覚を持てるかどうかで、コストの受け止め方が変わる。

商品代金以外のコストが「想定外」になる。 すでに中国仕入れを行っている会社は理解しているが、初めての事業者は関税、消費税、為替手数料、通関手数料、検品費用といった商品代金に含まれないコストの存在を見落としやすい。これは日本国内だけの商売では気にすることがない費用だ。「商品が安いから利益率が高い」という計算は、これらのコストを加えると大幅に修正される。

不良品が「ゼロ」だと思っている。 日本でも、ものづくりをしている会社は理解しているが、ヒューマンエラーによる不良品は一定の割合で必ず出る。中国仕入れの場合、製造工程に近い段階で商品を受け取るため、問屋を経由する場合よりも不良品が手元に届く確率が上がる。検品で弾く割合は広州市場仕入れで1.5%未満が目安だが、この1.5%は仕入れ原価に含めてコスト計算すべきだ。

代行業者を「下請け」だと思っている。 中国仕入れの代行業者はパートナーであって、下請けではない。「下請けには無茶を言ってもいい、注文してやっている」という姿勢は、現地のバイヤーに伝わる。実際に、バイヤーの側から取引を断った例がある。バイヤーはたくさんいるが、購入者もたくさんいる。選んでいるつもりで、選ばれてもいる。代行業者は、自分の代わりに市場を歩き、交渉し、検品し、書類を整え、出荷する専門家だ。その専門性に対して適正な対価を支払い、誠実に道徳心を持ちながら相手と対等な関係を築けるかどうかが、中国仕入れの持続性を決める。

仕入れ規模と利益率の関係

商品を数枚買って個人的に使うなら、広州の市場価格は割引なしでも十分安い。しかし、販売目的で仕入れるとなると、手数料と税金と輸送費が加わる。商品単価だけで販売価格を設定すると、「思ったより高い」という感想になる。

ここで効いてくるのがスケールメリットだ。広州の市場では、購入数量が増えるほど商品単価が下がる。代行手数料の料率は月間仕入額が大きいほど下がる(20%→18%→15%と段階的に下がる体系が一般的だ)。国際送料は航空便から船便に切り替わり、1枚あたりの負担が減る。通関手数料の1回あたりのコストも、仕入れ額が大きいほど希釈される。

つまり、規模が大きくなるほど、ランディングコストの倍率は1.5〜1.7倍のレンジの下限側に寄っていく。中国仕入れで利益を安定させるには、「何を仕入れるか」と同じくらい「どれだけの規模で仕入れるか」が重要だ。最初のテスト仕入れは少量で構わないが、事業として回すフェーズに入ったら、まとめ買いと計画的な発注サイクルへの移行が不可欠になる。

よくある質問

Q. 商品代金以外のコストはざっくりどのくらいですか?

広州の市場型買付代行の場合、代行手数料・検品費・国際送料・為替手数料を合わせた「中国への支払い」が商品代金の約1.3〜1.45倍、そこに日本の関税・消費税(課税価格の約21%)が加わり、ランディングコストは商品代金のおおむね1.5〜1.7倍が目安です(2026年6月時点)。単価が低い商品や少量の仕入れでは、さらに上振れすることがあります。

Q. 関税と消費税はどのくらいかかりますか?

アパレルの場合、課税価格(商品代金+国際送料+保険料)に対して関税が約9〜11%、輸入消費税が関税込みの金額に対して10%。合わせて課税価格の約21%が目安です。詳しい計算方法は費用と利益率のシミュレーションで解説しています。

Q. 不良品が出たらどうなりますか?

広州市場仕入れの場合、検品で弾く割合は1.5%未満が目安です。検品段階で発見できれば再発注や交換で対応できますが、検品をすり抜けた不良品のコストは仕入れ側の負担になります。このコストをゼロと想定するのではなく、仕入れ原価に織り込んで計算するのが現実的です。

この記事を書いた人: 広州市場での買付代行実績15年のスタッフが在籍する中国トレーディングサポートが、広州仕入れの実務と原価構造を解説しました。