中国輸入代行「手数料ゼロ」のカラクリ – 無料の代行は何で稼いでいるか
「代行手数料ゼロ」。
中国輸入代行の比較サイトを見ていると、この言葉がやたらと目に入る。手数料がかからないなら安いに決まっている、と思うかもしれないが、少し立ち止まって考えてみてほしい。ボランティアで貿易業務をやっている会社は存在しない。手数料がゼロなら、どこか別のところで売上を回収している。問題は、その「どこか」が見えにくいことだ。
代行手数料の課金モデルは3つある
中国輸入代行の課金モデルは、大きく3つに分かれる。
手数料率制。 仕入れた商品の代金に対して一定割合の手数料を加算する。仕組みが分かりやすく、仕入れ額が少ないうちはコストも低い。
月額固定制。 月々の会費を支払い、一定範囲の代行サービスを受ける。手数料0%をうたうプランもあるが、月額9,800円〜29,800円程度の固定費がかかる。月額費用とは別に、検品費、国内送料、国際送料、為替レートの上乗せ分が発生するため、「月額○○円で使い放題」という印象とは実態が異なることがある。
従量課金制(セット価格制)。 1点あたり、あるいは1梱包あたりの固定単価で検品・加工・梱包をまとめて提供する。仕入れ点数に比例して費用が決まるため、コストの予測がしやすい。
「何をしてくれるか」で料率の相場が変わる
手数料率制の場合、代行業者が「何をしてくれるか」で相場が大きく変わる。
タオバオや1688の画面上の商品を購入・転送するEC購入代行型なら、5〜10%が一般的だ。一方、現地のバイヤーが市場を歩き、実物を見て、店主と交渉して仕入れる現地市場型は、15~20%程度になる。人が動くサービスだから、人件費の分だけ高くなる。従量課金制の場合は、検品から梱包までを含めて1枚あたり3元(約70円)前後が一つの目安になる。
「5%の業者と18%の業者」を並べて高い安いを論じるのは、ファストフードとレストランの価格を並べるようなもので、比較として成立していない。比べるべきは、同じ種類のサービス同士、かつトータルコストだ。この区分の詳細は中国輸入代行の料金で解説している。
「手数料ゼロ」の代行は何で稼いでいるか
手数料を取らない代行業者には、大きく分けて3つの収益源がある。
商品代金の上乗せ。 工場や市場での仕入れ値に一定の金額を上乗せし、その差額を収益にする。商品代金そのものが高くなるため、一見すると「市場価格で仕入れている」ように見えても、実際には代行業者のマージンが含まれている。このマージンは開示されないことが多い。
為替レートの上乗せ。 人民元から日本円への換算時に、実勢レートに一定の上乗せをしたレートを適用する。上乗せ自体は両替コストと為替変動リスクを吸収するためのもので、業界共通の慣行だ。問題は、そのレート設定が明示されているかどうか。「TTS(銀行の対顧客電信売相場)×○○」のように計算式が公開されていれば自分で検算できるが、明示されていなければ、仕入れ額が大きくなるほど見えないコストが膨らむ。
検品費・国内送料・国際送料・梱包費などの周辺費用。 手数料はゼロだが、その代わりに検品費が1個○元、国内送料は実費の○%上乗せ、国際送料はキロ単価○元と、項目ごとに細かく課金される。一つひとつは少額に見えても、合計するとかなりの金額になるケースがある。
つまり、代行手数料がゼロでも、トータルコストがゼロになるわけではない。手数料という名目を消しただけで、別の名目に振り替わっているだけだ。
手数料率だけでは比較できない3つの理由
理由1:「手数料」に含まれる作業範囲が、業者によって違う。 中国国内送料や検品費用まで含む業者もあれば、それぞれ別料金のところもある。現地で店主と交渉して仕入れるまでが手数料の業者もあれば、ECサイト上の注文代行だけの業者もある。同じ「手数料○%」でも、中身はまるで別物だ。
理由2:検品・加工の単価が別に乗る。 検品費、ネームの付け替え、OPP包装(透明フィルムの個包装)。これらは手数料とは別の項目で課金されることが多い。しかも「検品」の中身も業者で違う。外箱を開けて数を数える簡易検品と、1枚ずつ広げて縫製・サイズ・汚れまで確認する詳細検品では、やっていることが別物だ。アパレルで検品を削ると、浮かせた数千円が返品とクレーム対応で何倍にもなって返ってくる。
理由3:不良品の頻度が、実質の仕入単価を上げる。 これが一番見落とされる。違う商品が届く、色が違う、汚れているなど中国からの仕入れでマイナス分は必ず発生する。問題はその頻度だ。100万円分仕入れて、売り物になる良品が90万円分しか残らなければ、手数料率が何%だろうと、実質の仕入原価は1割上がっている。手数料の安い業者で不良が多発するなら、手数料の高い業者で良品率が高いほうが、最終的な1枚あたりの原価は安い。
手数料率は、トータルコストの一部でしかない。手数料+周辺費用+不良による目減り。この合計を良品の枚数で割った「実質の1枚あたり原価」で比較して、初めて意味のある比較になる。
商品代金が安いほうが、税金でも得をする
ここで、多くの見込み客が意外と知らない構造がある。
日本に中国から商品を輸入するとき、税関で関税と消費税がかかる。このとき課税対象になる「課税価格」は、商品代金と国際送料、保険料の合計だ。代行手数料や検品費は課税価格に含まれない。
つまり、同じ品質・同じデザインの商品であっても、商品代金そのものが安い業者を使ったほうが、関税・消費税の支払い額が下がる。「手数料ゼロ」の代行が商品代金に利益を上乗せしている場合、手数料分は節約できても、その上乗せ分に対して関税と消費税が余計にかかることになる。
この構造を理解している事業者は、代行手数料の高低ではなく、商品代金の純粋な安さで業者を比較する。代行手数料が明示されている業者のほうが、実は総コストが低いこともある。
分かりやすいコスト構造の価値
代行業者を選ぶとき、見積もりの「分かりやすさ」は、料金の安さと同じくらい重要だ。
商品代金がいくらで、代行手数料がいくらで、検品と梱包がいくらで、国際送料がいくら。それぞれの項目が分かれていれば、どこにいくらかかっているかが見える。見えれば比較できる。比較できれば、交渉もできる。
逆に、「トータルでこの金額です」とだけ言われた場合、商品代金にいくら乗っているのか、為替レートはどう設定されているのかが分からない。分からなければ、安いのか高いのかも判断できない。
広州の市場型買付代行の場合、1枚あたりの作業費をセット価格で提示するケースがある。たとえば検品、ブランドネームや洗濯ネームの付け替え、下げ札の取り付け、OPP包装(透明フィルムの個包装など、これらをまとめて1枚あたり3元(約70円)前後のセット価格で提示する形だ。商品代金は市場での仕入れ値そのもの、加工費は枚数×単価で計算できるため、仕入れ前の段階でコストの全体像が見える。
代行選びの本当の基準
料金比較は大切だが、代行業者との関係は「一回の注文」で終わるものではない。
継続的に仕入れを行う場合、バイヤーが市場の動向をどれだけ把握しているかが、長期的なコストパフォーマンスに直結する。たとえば、欲しい商品のカテゴリーを頼んでおくと、市場で新しいデザインを見つけたときにWeChatで写真を送ってくれるバイヤーがいる。それは関わる全員にとってメリットがある。バイヤーは取引が増える。店舗は商品が売れる。購入者は、そのバイヤーがいなければ日本に入らなかったデザインを仕入れられる。
紹介で取引先が増えているような代行業者は、既存顧客の満足度が高い証拠でもある。大々的にWEB広告を打っている業者と、15年間ほとんど紹介だけで続いている業者では、コストの使い方も、顧客との関係性の密度も違う。
代行手数料の比較は入口にすぎない。手数料の奥にある、商品代金の透明性、検品の実態、そして市場を歩くバイヤーの目。それが、仕入れの総コストを決める。
よくある質問
Q. 代行手数料は何%が相場ですか?
サービスの種類で相場が違います。タオバオや1688の商品を購入・転送するEC購入代行型は5~10%が一般的です。現地のバイヤーが市場で買い付ける現地市場型は15~20%程度で、仕入れ額が大きくなるほど料率が下がる体系が多くなっています。手数料率だけでは総コストは判断できないため、検品費、為替レート、国際送料、不良品の頻度を含めて比較してください。
Q. 月額制と手数料率制はどちらが得ですか?
仕入れ頻度と金額によります。月に1~2回・少量の仕入れなら手数料率制のほうが無駄がありません。毎週仕入れて月の取扱点数が多い場合は、月額制やセット価格制のほうが1点あたりの単価は下がります。
Q. 「手数料ゼロ」の代行は本当に使わないほうがいいのですか?
手数料ゼロ自体が悪いわけではありません。問題は、コスト構造が見えにくいことです。商品代金の上乗せ幅、為替レート、周辺費用の内訳が明示されているなら、トータルコストで比較して判断してください。明示されていない場合は、慎重に検討する価値があります。


