中国輸入のAmazon相乗り問題 – 1688仕入れで商品が被る構造的な理由

Amazonで服を探していると、ときどき不思議な光景に出くわす。

まったく同じデザインのTシャツが、販売者名だけ違って3つも4つも並んでいる。価格帯もよく似ている。ショップ名が違うから、注意して見なければ同一商品だと気づかない人もいるだろう。

これは偶然ではない。1688(アリババグループの中国国内向け卸売サイト)という巨大なプラットフォームの「構造」が、この現象を生み出している。

同じ商品が日本のECに何度も現れる仕組み

1688には、中国全土の工場や卸売業者が商品を掲載している。ここで重要なのは、一つの工場が複数の店舗名で出品していることもあれば、同じ商品を複数の工場が製造していることも珍しくないという点だ。

ある工場がTシャツのデザインを1688に掲載する。すると、日本のEC事業者Aがそれを仕入れてAmazonに出品する。同時に事業者Bも、事業者Cも、同じ1688の商品ページ(あるいはその工場の別店舗ページ)から、まったく同じTシャツを仕入れる。結果、Amazonには同一商品が複数の出品者から並ぶ。これが「相乗り」の正体だ。

相乗りが始まると、差別化の余地は価格しかなくなる。価格競争に入れば利益率は下がる。広告を打てばさらにコストが膨らむ。1688で「売れそうな商品」を見つけたつもりが、同じことを考えた同業者が何十人もいた、というのは中国輸入のEC事業者なら一度は経験する話だ。

写真や素材、サイズ表記を丁寧に見比べれば同一商品かどうかは見分けられる。ただ、買う側の目線で考えると、本当に大事なのは「誠実な販売かどうか」だ。出品者として差がつくのはここだ。サイズをセンチメートルで正確に記載しているか。生地の厚みや透け感を写真で見せているか。洗濯後の縮みについて注意書きがあるか。安くても良いものはあるし、高くても情報が不誠実なものはある。しかし相乗り状態では、同じ商品ページに複数の出品者がぶら下がるため、丁寧に書いた商品説明も比較されにくい。「誠実な売り方」での差別化すら難しくなる。

なぜ「1688にない商品」が存在するのか

この相乗り問題の根本的な解決策は、「1688に載っていない商品を仕入れる」ことだ。そんな商品が存在するのかと思うかもしれないが、存在する。しかも大量に。

中国・広州のアパレル卸売市場を歩くと、その理由が肌で分かる。

店舗で服の写真を撮ろうとすると、嫌がられることがある。今でこそ緩くなったが、15年ほど前は、数枚撮っただけで怒鳴られ、その場でスマートフォンのデータ削除まで確認されたという話を、現地で何度も聞いた。

現在でも、韓国のECバイヤー向けにデザイン性の高い商品を扱うビルでは「撮影禁止」の看板が掲げてある。別のビルの新しくできた男性向け店舗では、商品の前にカーテンがかけられているところもあった。カーテンの手前には誰でも見られる商品、奥にはコピーされたくない商品。警戒度の差が物理的に見えていた。

なぜそこまで警戒するのか。理由は単純で、広州の市場では、撮影された商品のデザインが翌日には別の店舗で並んでいてもおかしくない。デザインのコピーは日常的に起きている。特にメンズアパレルは形のバリエーションが少なく、プリントの柄をわずかに変形させるだけで類似商品が完成するため、店舗側の警戒はひときわ強い。

つまり、広州市場の店舗オーナーは、商品が写真で拡散されることを恐れている。オンラインに掲載しないのは怠慢ではなく、デザインを守るための合理的な判断なのだ。

この構造があるからこそ、広州の市場にしか存在しない商品がある。1688には載っていない。タオバオにも出ていない。現地の店舗に行き、品質とトレンドを自分の目で見比べ、その場で交渉して初めて手に入る。

「被らない仕入れ」は仕組みで作る

1688からの仕入れを否定しているわけではない。1688は手軽で、小ロットでも始めやすく、代行業者のサポートも充実している。ただ、「手軽に始められる」ということは、競合も手軽に始められるということだ。

商品が被らない仕入れを実現するには、調達ルートそのものを変える必要がある。広州の卸売市場には、沙河、十三行、白馬といった巨大なアパレル集積地がある。これらの市場は毎週のように新しいデザインが入れ替わり、オンラインに載る前に(あるいは永遠に載ることなく)売り切れていく。

現地にバイヤーがいれば、市場に週に複数回通い、トレンドの変化をリアルタイムで拾い上げることができる。

ここで、先ほどの撮影禁止の話に戻る。店が撮影を許すかどうかは、関係の深さで決まる。「この人は売れる見込みのある量を買う」「デザインを盗まない」。その信頼があるバイヤーには、店はカメラを向けさせてくれる。一見の客には見せない商品が、懇意のバイヤーには開かれる。

「この商品は日本で売れそうだ」と判断したバイヤーから、WeChatで即座に写真が届く。それは1688を何時間スクロールしても見つからないデザインかもしれない。
※ただし、写真は店内のLEDや蛍光灯の下で撮られたものだ。特に紫系や深い赤は、照明とカメラの特性で実物と違う色に写りやすい。色味が決め手になる商品は、サンプルを取り寄せて実物で確認したほうがいい。

相乗り競争から抜け出すための第一歩は、「全員が同じ棚から商品を選んでいる」という構造に気づくことだ。棚を変えれば、競争のルールが変わる。


よくある質問

Q. 1688で仕入れている商品が相乗りされました。どう対処すればいいですか?

短期的には、商品画像の差し替えや独自の梱包、迅速な配送など運用面の改善で差別化できます。ただし、同じ1688の商品ページから仕入れる限り、根本的な解決にはなりません。中長期的には、仕入れ先の多様化が必要です。

Q. 広州市場に行かないと商品は手に入らないのですか?

自分で渡航する必要はありません。現地のバイヤー(買付代行)を通じて、リモートで発注する方法があります。初回は現地視察することをおすすめしますが、信頼できるバイヤーが見つかれば、2回目以降は写真と動画でのやりとりでも仕入れは回ります。

Q. 広州市場の商品は品質が心配です。

心配するのは正しい判断です。市場の商品は品質のばらつきが1688以上に大きいため、現地での検品が不可欠です。経験のあるバイヤーは検品基準を持っており、出荷前に不良品を弾きます。バイヤー選びが品質を左右する、というのが現実です。